Novel

Divine

息をすること

 ぜぇぜぇと自分の口から鳴る音に目が覚めた。 目が覚めて、息苦しさに気付く。 息をする暇もなく、げほげほっと咳が漏れた。 最悪だ。 苦しいともがきながら思う。 こんなつもりじゃなかった。 そう思う思考すら掻き消すように、げほっげほっと大き...
Divine

小さな賢人の裏切り

 世界防衛機構エルピスには禁書と呼ばれる蔵書も多く保存されている。 基本的には閲覧不可、持ち出し禁止の書物だ。 事情はいろいろある。 たとえば、宗教的、イデオロギー的に問題があるとされているもの、人権を無視した禁術近い技術が記されたものな...
Divine

あんたの隣にいたくて

「僕はこの家を出ようと思う」「え……?」 そんな言葉を突き付けられたのは本当に唐突なことだった。 いつも通り、何の変哲もない夕食の席でのことだった。「な、んて?」 自分の手からフォークが落ちて、カンと音を立てる。 そこまで自分が驚いたこと...
Divine

エルピス七不思議

「郵便配達人さんは、エルピスの七不思議って知ってますか」 いつもの御茶会を始めようとお茶を差し出したところ、由紀さんが唐突にそんなことを言い出した。「はい? 今なんと言いました?」 聞きなれない言葉に僕は目を丸くした。 え、なんて言いまし...
Divine

消えたい人魚の独白

「死にたい」 ポツリと呟いて、苦しい……と胸を抑える。 呟いたところで無駄だと、分かって呟いてしまったことが、より一層苦しかった。 真っ白な空間に、投げ出された足を眺める。 ガリガリに痩せ細った足。栄養などとは無縁の生活を送った爪は脆く欠...
Divine

僕の小さなご主人様

「子供が生まれたんだよ」 赤い髪を左肩に流すように結んだ男の人、僕の親戚筋の男で、今は主人と言っていいその人は内緒話でもするような声音で僕にそう言った。「こ、ども」 齢10の僕は、その言葉を噛みしめる。 自分には8つほど年が離れた弟がいる...
Divine

子守唄

「――――――」 寝苦しいほど、暑い、暑い夏の日。聞きなれない国の言葉で奏でられる歌を薄れる意識の中で聞いた気がする。 それを誰が歌っていたのか、そもそも現実だったのか、それとも夢だったのか。 今となっては知ることができない。 ただ、その...
Divine

理性って必要だと思う?

「理性って必要だと思う?」「はぁ?」  よくわからない問いにあたしは顔を顰めた。「お前、何言出だしてるんだ?」 いつもよくわからない奴だとは思ってはいるが、いつも以上によく分からないことを言い出したので頭を抱える。「えー。何となくだ...
七不思議の少女

高木修哉 雑記

あの日から僕は変わったと多くの人が言う。あの日。僕と葵さんが出逢い、七不思議を巡ったあの日。僕以外にとってはあの日は〝僕が肝試しに行って、帰ってくる気配がなく、家族を心配させた日”だ。ろくでもない息子が、ろくでもない遊びに行って、帰ってこ...
Angel Star

AngelStar 第一夜「アステリスク~罰なる星~」

プロローグ  神さま。これは罰ですか。 神に似せて土より造られたアダムとイブが蛇と化けた悪魔リリスにそそのかされて、禁断の知恵の果実を貪り、楽園より追放されたのと同じく―――― アダムとイブの息子の内、兄のカインが弟のアベルに嫉妬し...
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