Novel

毒の街

毒の街~少女の胸に宿ったのは~

「ごめんね。快人……。」 泣きすぎて、声にならない息遣いが、誰もいない街に響く。 病に倒れ、まともに食事もできていなかった快人の体は、力のない私が軽く担げてしまうほど、やせてしまっていた。 もう、快人の体からはぬくもりは感じられない…… ...
毒の街

毒の街~王の暴挙の先に~

「死者は、500人を超えたようです」  家臣の一人が、重々しく、俺に伝えてくる。「王!! このまま、エスタリスクを見捨てる気ですか!!」  エスタリスク  ……毒の街か  ため息ばかりが、協議室を占めていく  たかが、庶民数百...
毒の街

毒の街 プロローグ

 また、人が死んでいく。 ……昨日は、幼馴染の幸也が死んだ。 次は、弟の快人が死ぬみたいだ……。「椎奈?」「どうしたの……? 快人」 私は、快人に優しく微笑もうと試みるけど……。ダメみたい。「椎奈…。泣かないで?」 快人の頬に流れていく水...
田んぼが染まる頃

第一話 田んぼが茶色の頃~セピアとオリーブ~

「結局、私、鷹の台に行くわ」  合格発表で私――杉田葵が掲示板の前に立ち尽くしたあの日から、早くも二十日が経とうとしていた。  受話器の先で、友人の残念そうな声が聞こえてくる。 「そっか……。高瀬高校ダメだったんだね……。」  私は、友人...
田んぼが染まる頃

序章 田んぼが何色にも染まっていなかったとき

 おかしいな……。何がくだらなくて私は立っているんだろう。何が見たくてここにいるんだろう。  歓喜に満ちた声や、うれしさのあまり泣き出す少年少女を、私はただぼやける視界の中から見つめていた。 いったい、私は何を間違ったのだろう。 も...
JK達がオムライスを食べるだけの話

JK達がオムライスを食べるだけの話

 カランカラン 扉を開けたと同時に渇いた鈴の音が鳴る。 鈴に渇いた? きっとおかしな表現だね。 でも、今の私にはこの鈴の音がただただ無価値に思えて、渇いたとしか表現できそうにもなかった。 価値のない日常に鳴り響くセピアの音。 色褪せた音色...
七不思議の少女

旧(一万字版) 「七不思議の少女」

――あなたは、学校に伝わる七不思議を知っていますか? ――  ぽたぽたとアスファルトにシミができる。 頬から垂れる汗を拭って、僕、高木修哉はため息をついた。ぼーっとする頭を僕は大きく振って、家路につく。 あまりの暑さに汗は止まりそう...
七不思議の少女

七不思議の少女 <第二の七不思議 設置消化栓の落ちない血の手形>

 校舎を歩きながら、葵さんはこの学校の七不思議ができた経緯を教えてくれた。「ねぇ、修哉君。この学校の七不思議、どうしてできたと思う?」「それは……普通に考えたら、不思議なことがあったから、自然と広まって七不思議なんて呼ばれるようになったん...
七不思議の少女

七不思議の少女 <第一の七不思議 非常階段の赤い少女>

 四時になるのは案外あっという間だった。「ごめんなさい。遅くなりました」 さっき会った時は、警戒していたとはいえ、随分ぞんざいな口のきき方をしていたと思い、僕は口調を改めた。が、葵さんが「さっきみたいに話してくれた方が、気が楽」と微笑...
七不思議の少女

七不思議の少女 <柚葉小学校の七不思議>

――あなたは、学校に伝わる七不思議を知っていますか? これは、僕の通っていた小学校にまつわる話です――  僕が七不思議に出会ったその日は、暑い夏の日でした。  ぽたぽたとアスファルトに黒いシミができる。 それをぼーっと見つめな...
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