フリーゲームDivineシナリオ カーラルート

※こちらは2013年まで動いていたフリーゲーム「Divine」で使用予定だったシナリオの一部です。
 今後、フリーゲームを作る予定はありません。

一回目(聞かなかった場合)
 あ、あっちから歩いてくるのはカーラだ。いつも、笑顔の彼は、今日も相変わらず微笑んでいる。どうやら、あっちも私に気が付いたようだ。
「あ、由紀ちゃん、ここの生活はどう? 慣れてきた?」
 カーラは私のそばに来ると、初めから決めていたのか、そう聞いてきた。
「うん。あ、でも、まだちょっと慣れないところもあるかな…」
 クランやアジェン隊長、それにカーラやサラのおかげでいくらかここの生活にも慣れてきた気がする。
「そっか。もし、分かんないことあったら、何でも聞いて。俺、ここの生活、結構長いからさ」
 やっぱり、彼の笑顔は変わらない。
「そうなの? 今年で何年くらい?」
「うーん、もう、かれこれ十年以上になるのかなぁ」
「十年!? あ、あれ……?」
 予想外の答えに私は戸惑ってしまう。あれ? 彼はいくつだっただろうか……。
 私は、一瞬カーラの顔を見る。どう見たって、十代前半にしか見えない……。
「……。ねぇ、由紀ちゃん、今、俺がいくつとか思ってない?」
「……!?」
 まるで心の中を見透かされたような言葉に肩を上げる。
「その顔、絶対思ってたでしょ? まぁ、別にいいんだけど。いつもの事だし。
言っとくけど、こう見えて俺、19なんだ」
「え!?」
「やっぱり、そういう反応……。まぁ、いいよ。いつもの事だしね。
 ……」
「……」
そう、笑顔で彼は言うけれど、なんだか、がっかりしてるように見えて、返す言葉がなかった。そんな私の内心に気付いたのか、彼は話題を変えてしまう。
「あ! そういえば、俺の年齢はいいんだけど、年齢と言えばこんな噂知ってる?」
「噂……?」
「アジェン隊長には会ったよね?」
「あ、うん」
 急な話題の変化に私はあいまいにうなずく。
「これって、ここで昔から囁かれてる噂でさ、俺も長年見てて本当だと思ってるんだけど、
 アジェン隊長、不老なんじゃないかなぁって」
「……え?」
 不老……?
「あの人、全然歳取ってないんだよ。しかも、どうやらここ数年の話じゃないんだ。これが。」
「……どういう事?」
「もう、何十年もそうらしいよ?」
彼は少し楽しそうに語りだす。
「噂によれば、戦場の天使が生きてた時代にはすでに生まれてたんじゃないかって。
 でも、まさか、そんなわけないよねぇ。だって、戦場の天使が生きてたのって、三百年も前だよ? まさか、ねぇ? 由紀ちゃんはどう思う? こんな噂、あり得ると思う?」

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