七夕に願いをかけよう。君の笑顔を。

※（）は小声や心の声です。

カーラ「ねえねえ。隊長は何願い事したわけ？」
サラ「……」
カーラ「え。何で黙るの。しかも何で顔真っ赤？」
サラ「ば、馬鹿っ！！察せ！！」
カーラ「え！？馬鹿って俺のこと！？しかも、察せって何を！？」
サラ「いいから、黙れ！！聞くな！！」
カーラ「……」
サラ「な、なん、で黙るんだよ……」
カーラ「だって、隊長、黙れって言ったじゃん」
サラ「……だ、黙られると調子狂う……黙るな！」
カーラ「どっち！？黙れって言ったくせに今度は黙るな！？てか、隊長が悪いんじゃん。意地になって願い事教えてくれないからー」
サラ「……お前は」
カーラ「え？」
サラ「お前こそ、何願ったんだよ」
カーラ「何だと思う」
サラ「……いや、いい」
カーラ「どうしたの、隊長。そんなしおらしい顔して。って！え！？な、何でそんな泣きそうなの！？」
サラ「い、いや、お前の願い事想像したら……」
カーラ「え、えぇ！？何！？俺、隊長泣かすような願い事したって言うの！？え！？ちょ、ちょっと待ってよ！？泣くの！？これが！？これが泣くような願いなの！？」
サラ「え……？」
カーラ「……ねぇ、サラ。なんか、とんでもなく勘違いしてない？」
サラ「え、違うのか」
カーラ「いや、サラがいったいどんな勘違いしたか知らないけ……あぁ、わかった……。ごめん、サラ、俺その願い事思いつかないほどこっちの願い事しか頭に無かった」
サラ「？」
カーラ「確かにねー、そういう願いもあったのか。全然思いつかなかった。当たり前すぎて。考え付きもしなかった」
サラ「ち、違ったのか……」
カーラ「ぶー。はずれはずれ」
サラ「じゃあ、いったい、何を願ったって言うんだ。お前が、それ以外で」
カーラ「……もちろん、秘密」
サラ「なんだそれ。結局、お前も秘密なんじゃないか。それじゃあ、あたしも秘密だ」
カーラ「えー、なにそれー。教えてよー隊長ー！」
サラ「嫌だ。お前にだけは絶対に教えない」
カーラ「…………」
サラ「なんだ、そのなんともいえない顔は」
カーラ「いや。ただ、自惚れてみただけだよ」
サラ「か、勝手に自惚れるな！だいたい、お前が何願ったのか全然想像つかないし、あたしだって教えてなんかやらんからな！」
カーラ「別に、いいよ。ただ、もし、同じ願いだったらいいなって思っただけだよ」
サラ「な！？」
カーラ「ほらほら、隊長、願い事かけてこようよ。急がないと埋まっちゃうよ！うちのメンバーただでさえ人数多いんだから、願い事かけられなくなっちゃうよ！」
サラ「あ！待て！カーラ！！」

カーラ『サラの笑顔が見れますように』
サラ『カーラがちゃんと笑えますように』

カーラ「ちなみにさ、アスカルと亜華里ちゃんは何願ったの？」
アスカル＆亜華里「え？」
アスカル「うーん、ま、それは……な」
亜華里「な、ってうちに同意求めんでくれん？あんたの願いなんかしらんし。どーせあんたのことやし、しょーも無いこと願ったんやろ」
アスカル「しょーもないって……」
亜華里「あんたのことやから、どーせ”女の子にもてますようにー”とかやろ？」
アスカル「な！ち、違う！！」
亜華里「違うくせにそんなあわてて、どうしたん？アスカルー」
アスカル「……お、俺様、は！！」
カーラ「はいはい、ストップー。（ねえ、アスカル知ってる？願い事って人に言ったら叶わないらしいよ）」
アスカル「！？」
カーラ「（だから、わかったら黙っときな。ただでさえ亜華里に暴露したら叶わない願い事じゃん？）」
アスカル「……」
サラ「お前たち、仲良く何やってるんだ？」
カーラ「べっつにー。ねぇねぇ、サラ、それより屋台行こう。こんなとこめったにこれないんだからさ、ね？」
サラ「お、おう……？」
カーラ「（それじゃあ、アスカルお邪魔虫は消えるよ、お楽しみにー）」
アスカル「ば！馬鹿ーラ！！……余計なことを……」
亜華里「なぁ、アスカル？あんた、さっきからどこ見てんの？まさか、また女に見とれてるんちゃうやろな？」
アスカル「……ひ……！！　あの馬鹿！だから、余計なことを……！！」
亜華里「なぁにが余計だって？」
アスカル「ぎゃあああああああああああ！！！！！」

サラ「あーあ。またやってるよ。仲いいな、あいつらは」
カーラ「ほんとにね（もっとうまくやれよな、アスカル）」

アスカル『今年こそ亜華里に告白する』
亜華里『平和な日々が早く来ますように』

カーラ「あ！由紀ちゃん！それにジェット君も」
由紀「こんばんは。サラ、カーラ」
ジェット「サラ部隊は相変わらずにぎやかだな」
サラ「主にあそこの二人がな」
カーラ「ねえ、二人はお願い事したの？」
ジェット「あぁ……。七夕には短冊に願いをってか」
由紀「お願い事書いてねって亜野ちゃんから短冊はもらったけど、まだ……。初めてで思いつかなくて……」
カーラ「え、そうなの？七夕ってアジアの文化だから、てっきり知ってるのかと」
由紀「ううん。記憶には無いみたい」
サラ「それじゃあ、初めての七夕を楽しむといいな」
ジェット「あれ？お前らは初めてじゃないのか？」
カーラ「あぁ、それはね」
サラ「うちの総長様は、ほら、アジア出身だろ。だからこういう文化を本部内でやったりするんだよ。それでな」
由紀「じゃあ、二人はもう願い事したの？」
サラ「あぁ」
由紀「そっか……。じゃあ、私も考えないと……」
カーラ「まぁ、そんな根詰めて考えなくてもいいんだよ。世界平和とかそんな願いでもいいわけだし」
由紀「あ、そっか。じゃあ……」

由紀『みんなが幸せになれますように』

ジェット「お、書けたのか」
由紀「うん」
カーラ「あぁ。いかにも由紀ちゃんって感じのお願いだね」
ジェット「それじゃあ、かけに行こうか」
サラ「おい、ジェット・オルデン。お前はいいのか？」
ジェット「俺はいいんだ。特にこれといって願うこともないし、何より自分の願いは自分で叶えるからな。お天道様に願うことは何にもねぇよ」
カーラ「これまたジェット君らしい……」
ジェット「それに、俺は願い事を叶えてくれる存在を信用してないだけだ」
カーラ「相変わらず、神様とか嫌いだね、君は」
ジェット「ここで神を表すのはあいつらだ。想像するだけでムカムカする」
由紀「え？願い事叶わないの？」
サラ「井ノ上由紀、叶う叶わないも信じる人の自由だ。お前が叶ってほしいと思うかそうでないかが重要なんだ」
由紀「どういうこと？」
サラ「叶ってほしいと思えば、きっとその願いは叶う。そういうことだ。
そして、叶えてくれる存在を信じる信じないも人それぞれってことだ」
由紀「そっか……。ジェットもせっかくだから何か願ったらいいと思ったけど……」
サラ「ジェット・オルデンが願わないなら仕方ないな……」
カーラ「でも、まぁ、願い事しないで自らの手で叶えるって言うのがなんだかんだ一番正しいのかもしれないけどね」

カーラ「カノン姉は、願い事した？」
カノン「あなた、さっきからそれみんなに聞きまわってるみたいね」
カーラ「いや、だってさ。たぶんみんな気になってると思うよ？万年同じ願い事するカノン姉じゃないし」
カノン「……あなた、何勝手に私の短冊見てるのよ」
カーラ「カノン姉が昔、俺に見せたんじゃん。。俺が見たくて見たわけじゃないよ」
カノン「あー……そういえばそんなこともあったかしら……」
カーラ「やっぱり、いつもと同じ願い事？」
カノン「まあ、ね」
カーラ「相変わらずだね。カノン姉は」
サラ「ガーナたちは何か願い事したのか」
ガーナ「いえ、あたしは……」
サラ「とか言いながら、短冊握りしめてるじゃないか」
ガーナ「これは……あたしじゃなくて……」
ミーナ「奏のためなんだよね」
サラ「奏？あぁ、お前のドラゴンか」
ガーナ「今回、奏はここに来れなかったので、せめて願い事だけでもと思ったんですが、できれば彼にこの風景を見せてあげたかったです。」
サラ「ガーナはパートナー想いなんだな」
ミーナ「えぇ」
カーラ「そういえばミーナは？何をお願い事したの？」
ミーナ「私は……(カノンにはないしょね)」

ミーナ『カノン部隊がこれからも仲良くやっていけますように』

カーラ「うん、内緒にしとくよ」
サラ「おい、カーラ。どうしたんだ緩んだ顔して。嬉しそうだな」
カーラ「いやねー、カノン姉良かったなーと思ってさ」
サラ「あぁ、そうか。お前らは最初二人だったんだもんな」
カーラ「うん。だから、カノン姉はいい仲間に出会えたみたいでほんと良かったなって」
サラ「そうだな」
ガーナ「カーラ先輩！これってどこかけてもいいんですよね！」
カーラ「うん、そうだよー」
ガーナ「これでよし。っと」

ガーナ『奏の願いが叶いますように』
カノン『みんなの笑顔を守れますように』

カーラ「皆、なんだかんだ楽しんでるよね」
サラ「そうだな」
カーラ「しっかし、なんか違和感あるんだよねー」
サラ「？？」
カーラ「こんな大がかりなお祭り開けるもんかな？俺ら確かに今まで七夕をしたことはあるけど、花火や屋台ってしたことないよね」
サラ「言われて見ればこんな大がかりなお祭りははじめてだな」
カーラ「ちゃっかり衣装まで作られてるし、すっごく裏がありそうな気がしてならないんだけど……」
カイト「そうですねー。違和感はありますよね」
サラ&カーラ「隻眼郵便配達人(さん)！？」
カイト「何でも、突然浴衣やら花火やら資金が送られてきて、七夕祭りにお使いくださいとの書き置きがあったとか。どう考えても裏がありそうなのは確かですねー。
ご丁寧に全員分のサイズ一寸違わない浴衣一色入れてきてますし。どこの物好きですかって話ですよ」
アジェン「まぁまぁご好意を無下にするのは失礼だろう。裏があろうが無かろうがせっかくの機会だ。楽しむべきではないかい？」
カイト「あなたがそんなのんきだから、僕が心配してるんですが……。それに今回ばかりは僕だけじゃありませんよ」
ウィンタ「アージェーンー！」
アジェン「ウ、ウィンタ？」
ウィンタ「あんたはいつもいつも！！俺があれほど！あれほど！！ここが何で作られてるのかわかってるのか！？って言ってるのに！！あんたって人は！！ほんと勝手なことを……！！
だいたい今回の件だって俺はやめろって言っただろ！！聞いてないな！あんた！！」
アジェン「大丈夫だって僕は言っただろう。君たちは心配しすぎなんだよ。
それに今回、これらを送ってきた御仁は僕の知る人だ。何も心配はいらないよ。時には休息も必要だよ」
カーラ「あー……（大変だなー総長を支える支団長たち……）」
サラ「そういえば、支団長が一人いないな」
カーラ「まぁ、こんなどうしようもない総長といてもねー」
サラ「ばっ！口を慎め、カーラ。一応、総長の前だぞ」
カーラ「だいじょーぶだいじょーぶ。どうせ支団長たちに囲まれてて聞こえてないって」
サラ「そうかもしれんが……」
カーラ「それに、俺、あの人ほんと許してないし。サラにあんなことして……」
サラ「だから、それはもういいって言っただろ。
あたしがいいって言ってるんだから、もう良くないか？お前、どんだけ根に持ってるんだよ」
カーラ「えー。ま、それ以外にもいろいろあるんだけどさ」

カーラ「それにしても、そろそろ、いいんじゃないの。海月沙由」
サラ「え？」

沙由『あらぁ、やっぱりばれてたのー。つまんないわね、あなた』
カーラ「何いってんのさ。白昼堂々俺らについて回ってたくせに」
サラ「いつから！？」
カーラ「たぶん、ずっと」
沙由『えぇ、あなたたちが二人で楽しそうにしてるあたりからずっと見させてもらってたわ』
カーラ「敵のあんたが堂々と俺らについて回るってどういう神経してんのさ」
沙由『まったく、失礼な餓鬼ね。せっかく人が楽しい催し物をしてあげたっていうのに』
サラ「は！？お前なのか！？突然、浴衣やら金やら花火やら送り込んできたやつっていうのは！」
沙由『そうよ。ま、アジェンには違う名前を名乗らせてもらったけど』
カーラ「いったい、何が目的なわけ。何の利益もなしに敵のあんたがこんなことするはずないだろ」
沙由『ふふっ。残念。今回は何もやましいことは無いわ。ただ、浮かれてるあんたたちを見てみるのも悪くないと思っただけよ。ほらほら、そんな身構えない。
せっかく、楽しませてあげてるんだからあんたたちは黙って楽しんでればいいのよ。
そうしないと、私の気が変わって何か起こしちゃうかもしれないわよ？』
カーラ「本当に何もしないんだな」
沙由『えぇ。あなたたちが私を楽しませてくれてるうちはね』
サラ「楽しませるって……。あたしたちは見世物か」
沙由『あら、見世物じゃないの』
カーラ「サラ、こんなのと会話してるだけ無駄だよ（どうやら今はほんとに何もしないみたいだしね）」
サラ「あ、あぁ……」
沙由『無駄とはほんと失礼ね』
カーラ「だって、あんたを楽しませてるうちは何もしないんだろ。
だったら、せいぜい、あんたの舞台で楽しませてもらうだけのことだよ」
沙由『そ。それじゃあ、せいぜいお楽しみなさいな。私はここで高みの見物でもしてるわ』
サラ「どうせなら、あんたも楽しめばいいのにな。姿変えて紛れ込めるんだろ」
沙由『うれしいお誘いだけど
私は自分が楽しむのは好きじゃないの。
どっかの馬鹿が楽しんだり悲しんだりしてるのを見るのが楽しくて楽しくて仕方ないのよ。残念ね』
カーラ「だから、そんなのと話してるだけ無駄だよ。行こうサラ」

沙由『ふふっ』
キャサリン『あーるじ！主！楽しそうね』
沙由『あら、キャス。あなたも来てたの』
キャサリン『当たり前じゃない。主あるところに私ありよ』
沙由『何言ってるんだか。どうせ、一人が寂しくて追っかけてきただけでしょう』
キャサリン『にしても、主も鬼畜よねー。楽しませるのを見るのが楽しいなんていっちゃって、ほんとは楽しませた後が楽しみなんでしょう？主』
沙由『私そんなこと言った覚えないけれど』
キャサリン『顔に書いてあるわ』
沙由『……興がそがれたわ』
キャサリン『あら、お帰りになるの主』
沙由『あなたのせいよ。全く』
キャサリン『私何か言ったかしら』
沙由『言ったじゃない。帰ったら覚えてなさい』
キャサリン『あーぁ。怖い怖い。にしても、ほんとに今回は手を出されないのですね、珍しい』
沙由『言ったでしょう。今回はあの子達が私を楽しませてくれるうちは手を出さないって。どっかの馬鹿が楽しんだり悲しんだりしてるのを見るのが楽しくて楽しくて仕方ないのよ。私は』
キャサリン『あら、私はてっきり悲しんでるのを見るのがお好きなのだと思ってたわ』
沙由『帰るわよ。私いるところにあなたありなのでしょう。だったら、もちろん一緒に帰るのよ』
キャサリン『えー。せっかくカーラが見れると思ったのに』
沙由『だめよ。どうせ、今、彼の隣には彼女がいるのだから諦めなさい。帰るわよ』
キャサリン『はーい』